2008.9.5 検察の控訴断念により無罪が確定しました。
ボールペン作戦及び寄付は終了いたします。
寄付いただいた皆様ありがとうございました。
概要と目的
2006年2月18日、一人の産婦人科医師が逮捕されました。
罪状は業務上過失致死及び医師法第21条違反。
前置胎盤に合併した癒着胎盤という予測困難かつ稀な病気で帝王切開中の妊婦が死亡されたのが発端になります。本当に痛ましい事件であり亡くなられた妊婦様の御冥福を心からお祈りします。
結果は痛ましいものではありますが、残念ながらこれは現代医学でも救命は非常に困難なものであり、病院にたった一人しか産科医がいない体制では限界があります。医療関係者は入手しえる情報を検討しつくした末、医師の判断処置に誤りは無く、これは悲しい事故であると判断しております。
しかし警察、検察の判断は逮捕起訴となり、これに日本中の医師が大きな衝撃を受けることになります。
福島県立大野病院事件。
日本の産科医療崩壊のきっかけとなったとして医療関係者たちにとっては有名な事件です。
限られた手段を駆使して彼女の救命を図ったものの、力及ばなかったのは事実。
しかし医学的に産婦人科医師がとった治療に誤りはなかったのも、また事実。
産婦人科医師が一生に一度遭遇するか、しないかと言われるほど稀な症例で、しかも治療に落ち度はないにもかかわらず逮捕起訴された……、その事実に産科医のみならず日本の臨床医たちが震え上がりました。
いつ自分が逮捕起訴されるかわからない。『正しい』医療をしても、患者を救命できなければいつ犯罪者扱いされるかわからない……!
反論ともいえる声は現場のうねりとなり、医学界をも動かす大きなものとなりました。
医師の起訴自体は、この事件が初めてのことではありません。しかし、医学界全体を巻き込んでの運動となったのは前代未聞です。
この運動が医師たちのかばい合い精神のあらわれだという批判の声もあります。しかしそのようなくだらない目的のために数百人以上の医師たちが一斉に行動を起こすのでしょうか? 医療過誤として医師が起訴されることはこの事件だけではないというのに?
理由は簡単です。この産婦人科医師の治療に間違いはなかったのだと考えているからです。
その後、2008年8月20日に下された1審無罪の判決に対して検察は控訴を断念し、被告医師の無罪が確定しました。
この事件が医療現場にもたらした影響はあまりにも大きなものでしたが、ひとまず『大野病院事件』としてはひとつの区切りを迎えたことになります。
この事件をきっかけとして表面化した全国的な医療崩壊がどのような結末を迎えることになるのか、判決時点ではわかりません。この事件によって失ったものは多く、そしてもたらされたものは決して多くはありません。それでも『ポスト大野』ともいえる段階になったのは確かでしょう。
今後、日本の医療は完全崩壊してしまうのか、それともいびつながらもある程度は生き残るのか、それはいまだ霧の中です。
今はただ、このような悲しい事件の再発防止を願うばかりです。